なぜ多くのチームはハイプレスにハマるのか
相手チームが高い位置からプレスをかけてきたときに、おもしろいにようにスペースが埋められ、パスコースが消え、選択肢がなにもなくなるというシーンを見たことがある人は多いと思います。これには理由があって、その中には自ら自分たちを追い込んでしまっているというパターンがいくつかあります。今回のこの記事ではその理由を10月14日(土)に行われた、FC岐阜vs徳島ヴォルティスを元に話を進めていこうと思います。
まず見てもらいたいシーンがこれです。
もいっちょ。サイドへの追い込み方、追い込んでからのプレッシング。岐阜窒息寸前.... pic.twitter.com/7DwMdpZ1LF
— みぎ (@migiright8) 2017年10月14日
見てもらえればわかるとおり、トラップで前への視野は確保できているのに、次から次へとパスコースが消えていき、追い込まれているのがわかると思います。では、なぜこんなことが起きてしまっているのでしょうか?その原因を今から解説しようと思います。
ハイプレスにハマった瞬間
これは、CBからのパスを相手選手の中央で受けたシーンです。正直、このシーンでGKに返して逆サイドに展開してしまえば、何も問題はありませんでした。ただ、このシーンでトラップという判断をしてしまっても、ダイヤが形成されていてパスコースとスペースの確保ができている。さらに数的優位ということを考えると、この段階ではまだプレスを回避することは可能な配置です。
そして、これはCBからパスを受けた選手が右サイドにパスを出したシーン。問題が起きたのはこの瞬間です。CBからパスを受けた選手が、出したあとに下がるという決断をしました。ボールホルダーに近寄ったことで、ボールホルダーの選択肢は中央に当てるという選択しかなかなくなり、逃げるためのスペースが消えてしまったんです。この選手は恐らく、味方をフォローをしようと下がったのだと思いますが、そのフォローしようとしたことによって、ボールホルダーの選択肢を限定することに繋がり、この後のシーンで逆算されていないバックパスをすることになります。その結果、相手のハイプレスにハマったというわけです。
問題の解決策
今、僕は味方選手が下がったことによって、スペースが消えたと言いましたが、ここで一つ考えてほしいことがあります。CBから中央で受けた選手が、もし、味方に近寄るのではなく、この背後に空いているスペースを利用したらどうだったでしょうか?
恐らく、このような配置になることが予想されます。中央、二人の選手は間へのパスを警戒し、スペースを埋めることで、ボールホルダーとの距離が生まれる。そして、そのボールホルダーとの距離が生まれたことで、ボールホルダーの前方には新たなスペースが生まれます。ただ、これだけでプレスが回避できるか言われるとまだ不十分で、新たに生まれたスペースを利用することで初めて、回避することができます。
ちなみに、このスペースがなぜ生まれるのかは「スペースというのは利用することで創り出すことができる」という記事で説明しています。
そして、その空いたスペースを利用した形がこの画像です。ボールホルダーはスペースに侵入し、CBはパスコースの確保をするためにポジションの修正。そして右SHは保険として相手の前に入るという形です。この、中のスペースへドリブルをするというのが重要で、この中にドリブルをしたおかげで中央にいる二人の選手は二択を選ばされることになります。その二択とは、ボールホルダーにプレスをかければパスコースが空き、パスコースを消せばボールホルダーを自由にしてしまうという二択。この二択を選ばされるというのは数的優位をつくるうえでの一つのメリットで、サッカーではそのような状況をどのようにつくるかというのが一つのポイントだったりします。さらにこのシーンで言えば、中央のスペースを利用したことで、ボールホルダーの選択肢は全てで三つできあがることになります。そうなれば、相手は選択肢を限定しきれないでしょう。ここまで持って来ることができれば、あとはボールホルダーが相手のリアクションを見てプレスを回避するだけです。
この記事の復習
実はFC岐阜vs徳島ヴォルティスの試合では、このシーンだけではなく、同じようなシーンが何度か起きています。そのシーンも載せますので、僕が解説したことをベースに二つほど動画を振り返ってみてほしいです。
このサイドに追い込んでからの網のはり方...エゲツない。追い込んでボールサイドに狩りにいくときの両WB内田と馬渡のつるべの動きが素晴らしくスムーズに変化していく。で相手陣地に追い込んで徳島は全体を前に押し上げ、高い位置で、良いバランスで回収して攻撃に繋げる。当然ながら距離感も◯。 pic.twitter.com/8czjIaoz54
— みぎ (@migiright8) 2017年10月14日
前半はこんなシーンばかり。
— みぎ (@migiright8) 2017年10月14日
島屋も相手と距離あっても全力で追いに行く...ファーストディフェンスの機能をきっちり果たす。そこから順々に追い込む。見ると分かるけど岐阜の中盤の選手達は皆背後からプレッシャーかかってるから相手ゴールに背を向けた受け方しか出来ない。ボールを握らせない。 pic.twitter.com/HK2D9j5i6P
どうでしたか?これが、岐阜がハイプレスにハマった原因だったんです。
まとめ
今回、この記事で伝えたいことは、味方をフォローするとはどういうことなのか?ということです。近寄ったり、下がったりすることは必ずしもフォローとはイコールではなくて、本当の意味でフォローするというのは味方の選択肢をどれだけ増やすことができ、そのために、どのようにスペースを創り出し、どのようにスペースを利用するのかといった部分です。それをベースに見た時に今回のシーンはどうだったでしょうか?フォローすることとイコールではなかったはずです。
「日本代表の抱える守備の問題点とは?」という記事でも話しましたが、これを改善するために、高度な技術を求めているわけではないんです。ただ、Jリーグのチームなどを見ていると、どうしてもこういった知っているか知らないかで大きな違いが生まれてしまうというシーンを見る機会があまりにも多く感じます。なので、これからの日本サッカーの上達の鍵は、技術の向上ではなく、知識の習得ではないのかというような気がしています。フィジカル、スピード、技術の向上も重要なので、それらを鍛えあげるのもいいと思います。ですが、それを活かすために大前提として必要なのものは何か?ということを考えてみてください。
では、また。。。。。